ヒッコリー時代にゴルフ革命を起こした
画期的なステップダウン工法

1902年にアメリカ・オハイオ州で創業し、農業用フォークと鍬の製造・販売をするAmerican Fork& Hoe社(トゥルーテンパースポーツの前身)がスチールシャフトの開発に着手したのは1923年の事でした。当時は、ウォルター・ヘーゲン、ボビー・ジョーンズという2大スーパースターの活躍により空前のゴルフブームが到来し、ゴルフギア市場も次々と新しいものが開発され始めた時代でした。

1925年、スチールシャフト開発から約2年の歳月をかけて初代モデルを完成させ、その3年後の1928年にステップダウン工法によるスチールシャフトを発表。ステップ(段差)によりテーパーが付けられ、強度や精度、均一性を飛躍的に向上させた画期的なシャフトで、この工法(特許取得)は21世紀になった今でも引き続き行われている完成度の高い製法なのです。

しかし、誕生したばかりのスチールシャフトは、ヒッコリーシャフト職人やプロからはあまり歓迎されませんでした。性能的には優れているものの、ヒッコリーよりも重く、また何百年も続いたヒッコリーシャフトに工芸的な愛着感があったこともあり、「ルールで認めるべきではない」という意見が多かったようです。

こうした批判を受け、当初は表面を黄色や茶色でコーティングしたり、ヒッコリーを薄く被せるなどして、スチール感を払拭したモデルも開発し、試行錯誤の末、ようやくスチールシャフトが認められて全盛時代を迎えるのは、R&A がルールで使用を認めた1930年以降のことです。そしてトゥルーテンパースポーツの歴史の中で鍵となる製品が1941年に発表された「DYNAMIC」です。

ステップダウン工法など、蓄積された様々なノウハウに加え、新たに高強度特殊鋼を開発し、肉厚を薄く均一化して軽量化を図りながら、シャフト選びのベースとなる「フレックス分類」を世界で初めて実現した製品でした。

スウィングタイプ別に最適な硬さを選べるこの「フレックス分類」システムは、1950 年のPGAツアーで高い使用率を誇るなど、驚異的な人気を博しました。

1960年代後半になると、シャフト界は新たな時代を迎え、ウッド系、特に飛距離を求めるドライバーには、より軽量化を求める声が大きくなってきました。その要望に応えるため「DYNALITE」を開発し、ウッド系軽量シャフトの先駆けとして注目されました。


より細分化された設計によって生まれた
スチールの名作「Dynamic Gold」

従来のシャフト分類は、フレックス(R、S、X)とキックポイント(元、中、先)によるものでしたが、さらにシャフト重量をより細分化した設計のもと「Dynamic Gold」を開発いたしました。

フレックスについてはR、S、Xと従来の表記ですが、その後に100、200、300、400、500といったサブフレックスを設け、同じフレックスでも重量を変えたシャフトを実現しました。

「Dynamic Gold」は手元のネバリと先端の硬さが特徴で、さらに番手間の誤差を極限まで抑えたため、どのアイアンも飛距離と方向性が飛躍的に向上し、狙いどおりの球筋を生み出す事ができるようになりました。「Dynamic Gold」は、発売されるとすぐにPGAツアープロから圧倒的な支持と信頼を得ることができました。

発売から43年を経た今日でも、世界中のプロや上級者向けシャフトの主流となっており、「シャフト業界の革命」とさえ言われるほどゴルフ界に多大な影響を与え続けているシャフトです。


グラファイトシャフトを含めた
シャフトの総合メーカーへ

一方、グラファイトシャフトの生産もグラファロイとの合併により加速し、2005年に「ProLaunch Blue」を発売してからも、毎年のように高性能モデルを投入しています。安定したスチールシャフトの製造に甘んじることなく、時代の変遷に対応しながら常に最先端を走り、今もシャフトの総合メーカーとしてゴルフ界の一役を担っています。

創業から今年で121年の年月が経ち、ヘッド素材はトネリコ、パーシモン、メタル、カーボン、チタンなど、次々に開発される新素材によって変貌を遂げてきました。シャフトもヒッコリーからスチール、アルミ、カーボン、ボロン、ケブラー、チタンなど多くの素材が使用され、それにより長さや重さ、トルク、キックポイントなども大きく変わってきました。

トゥルーテンパースポーツは、こうした時代の流れを的確につかみ、開発部門を充実させ、今後も成長発展していく様に日々努力しております。


シャフトの研究・開発だけではない
ゴルフというスポーツへの技術開発

高い技術力には定評を頂いていたトゥルーテンパースポーツは、1967年に名手バイロン・ネルソンの協力を得て、スイングロボット「アイアン・バイロン」を完成させました。このロボットは、クラブテストに多大な貢献をしたばかりではなく、USGAも規則試験用の器具に採用するほど完成度が高かったのです。

1997年にはシャフトラボ・フィッティングテクノロジーを導入。さらに2003年にはミシシッピー州に最新鋭のテストセンターを開設するなど、ヘッド、シャフトとスウィングの理想的な組み合わせを、科学の目でも追求しています。


ゴルフの楽しみを届けると共に
ゴルフ界をリードしていく為に

現在、スチール、グラファイトシャフトとも研究開発は本社アメリカ・メンフィスとサンディエゴのR&Dセンターで行っており、製造はアメリカ・ミシシッピー州とメキシコの工場で行っています。

今後も時代の流れを掴み、ツアープロから一般ユーザー様の声も積極的に取り入れながら、より良い商品を提供するべく、新商品の開発、そして“ゴルフ” というスポーツがより発展していくように努めて参ります。

取材協力:ユニバーサルゴルフ社

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